霧筆畏無

生来の色覚異常のため、色彩に対するコンプレックスを抱えていた。当時、色覚異常は国公立の美術大学や一部の専門学校へ入学できず、絵画で考えていた進路に絶望を覚えたが、色彩理論や配色を学びマンセル値で計算して色出しする方法を開発し、活路を見出す。
 そしてファッションデザイナーとなり2001年チーフデザイナーに就任を機に退職。起業する。数年間は成長続けたが不運にも倒産。借金を返済するために絵画コンペの賞金稼ぎをしようと試みる。
 二科展デザイン部に入選したのをきっかけに個展を開催し、その売り上げで借金返済できたため画家に転身。しかし数年後、網膜色素変性症という視野が狭くなる難病を患っていることが発覚。その中で、長年追求していた素肌の透明感の表現を確立。
その後、青い絵の注文があり青の研究を始める。透明感の技術が確立した上で奥行きと広がりを感じる青を描き出した。
だが2019年頃から視野の中心が見えにくくなり、繊細な作業を続けることができなくなった。視覚に障害のある人生なのだと悟った。
視力に欠陥があってもできるアートを模索。ついに2024年9月、ぼんやりと眺めていた一枚のボードからインスピレーションを得た。それがシリーズ『森のなかの海』である。
色覚異常との闘い、色彩理論の勉強、透明性の探求、視野の狭まりなどが、ここに至るまでの道しるべであったと知る。

作品