ギャラリーインタビュー5

gi-logo~美の起原との邂逅・アーティスト達の軌跡~

 

岡田 豊さん

 

――2016年「美の起原展」で大賞を受賞し、2017年11月20日~25日まで個展“Out of noise”ー心世界のフクロウーを開催された岡田豊さんにインタビューしました。

――受賞後のご自身の気持ちの変化

大賞という1番の賞を頂けたことは初めてだったので本当に嬉しかったです。2016年の春に新たな心境で表現方法を白金色のふくろうに変え、その年の10月に「美の起原展」に応募しました。その前年は自身が表現活動をする意味を悶々と1年ほど考え続けていたので新たな挑戦をした世界感を認めてもらえて、一つ扉が開かれたような自信に繋がりました。

――受賞後の活動

2017.4 YUTAKA OKADA個展 “Out of noise” 東京北品川Gallery201
2017.6 YUTAKA OKADA個展 “Out of noise” 東京新橋 ATOM CS TOWER ホワイトギャラリー
2017.8 Independent Tokyo 出展 準グランプリ獲得
2017.11 Independent New York 2017 by TAGBOAT

――2017年 美の起原での個展コンセプト

“Out of noise -心世界のフクロウ-太古より英知と神秘性のシンボルとされてきた”フクロウ”。

紀元前古代ギリシャの時代には女神アテネの従者として、アニミズムの社会では神や精霊と人々を繋ぐ仲介役として、そして日本ではアイヌの人々がコタンコロカムイ(村の守り神)として、フクロウの神秘性は動物の域を超えて、人々に崇められ、親しまれ、拠り所となってきました。

しかし一方である時代や地域においては、不吉な鳥として迫害されてきた歴史も併せ持ち彼らはその時代の人々の”心”を映す鏡のような存在でもありました。

そして現代、時代はますます加速度を増し、人々は経済活動に追われる日々で自然と繋がる精神性や目に見えない神秘的な世界観への感受性は影を潜めはじめました。

地球規模の負荷を見ても、人類は向かうべき道の転換期にきている今”フクロウ”に与えられた叡智と神秘性のイメージの力を借りることで溢れる日々のノイズからしばし離れて、静かな”心”と向き合うことをテーマとしています。

ぼくにとって”フクロウ”はいのちの源流を見つめ、調和と共に時代を進むことを祈るシンボルなのです。”

――制作する上で刺激をうけた出来事

2008年に油絵のフォービズムの巨匠、山川茂さん(当時83歳)にご縁あって出逢い2年間内弟子にならせてもらって、それまでやっていたイラストレーターから純粋美術の世界に飛び込み、全く一から油絵の技術を教えて頂きました。奥様の山川陽子さんも芸術家ですし、当時兄弟子として居てくれた岡野真人くんも今ではNYに移住し活躍していて、芸術家の生き様や考え方を身近に吸収させてもらうことが出来ました。

その時期にアーティストとしての基礎を築いてもらいましたが、そこを卒業した後2015年にサントリー美術館「若冲と蕪村展」を観て、ハッと自分の足元にある日本の美意識に気づかされ感銘を受けました。京都で育った自分にとって特に意識もしていなかった日本的な美意識が実は自分の根底にあることに気づかされ、そこから東洋の精神性を自分なりに解釈して作品にする事や、空間と調和する感覚、光の移ろいが作品に干渉するような時間軸を取り込むことを試み始めました。

――アート活動の目指すところはなんでしょうか?

ぼくは20代のはじめから、今の経済至上主義的な社会が巻き起こす環境破壊にうんざりしていて、そのサイクルからはみ出したい想いもあってアーティストを目指していました。でもキャリアを積んでいくとアートマーケットが目の前に表れはじめて、まだ僕には遠いですがその行きつく先は実は資本主義のど真ん中だったということを知りました。(笑)

今はそのことを受け入れていて、逆にぼくみたいな価値観の人間が、社会を動かしているような方たちと接点を持ち、ヘタすると影響することもできるのがARTの可能性だということも知りました。

ただその世界に行くにはまだ学びが必要で、それよりまず今一番関心があるのはやはり自分と近い感覚で日々を送る方々に対してです。社会は表層的で物質的なことに価値観が置かれ、忙しく日々を送っていると本当の心の豊かさや、本来の自分を見失いがちです。その日常の中でふと立ち止まることのできる静寂を提供できればと思っています。ぼくの我の塊としての作品を観てもらうことなんかには興味がなくて、ぼくの作品の先に鑑賞者自身の心と向き合う時間を持ってほしいと思っています。個々の人間が癒されて、満たされて、クリアになっていると、きっとその集合体である社会も良くなっていくと今は信じています。我が我がの大量消費時代から、個々が自立して調和を守って、地球意識を持てるような価値観への転換期になるよう、ぼく自身ARTを探求する中で自分の役割を見つけていきたいと思っています。

――美の起原での個展はいかがでしたか?

銀座というロケーションでしかも1階にあるギャラリーさんなので、沢山の方にご来場頂けて本当に充実した展覧会になりました。大賞展ということで注目して頂けたことも本当に感謝しています。ありがとうございました。

 

~アートは波動であり作品からしみでるもの、前向きな光や暖かさが様々なものを浄化する~とお話してくださった岡田豊さん。
フクロウを通して精神性を伝える制作スタイルで大きく前を進んでいらっしゃいます。
今後のご活躍がますます期待されます。

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