U-ku



U-kuの作品は、水彩の偶発的な拡散と、アクリル絵具や異素材(レジン、箔)による主体的・意識的な介入という、相反する要素の緊張関係によって構築されている。
この制作プロセスは、単なる技術的選択に留まらず、彼女自身の出自――海外生活と帰国後の「アウトサイダー」としての経験、およびそれに伴う葛藤の受容――と不可分に結びついている。

U-kuは、水彩のコントロール不能な「染み」や「模様」を、自身の人生における所与の出来事と重ね合わせる。
それに対し、「美しい」部分を選択・強調し、「不要」な部分を覆い隠す(=リファインする)行為は、過去を再解釈し、自己のアイデンティティを肯定的に構築し直すという、極めて個人的な「生の営み」のメタファーである。
この一連のプロセスが可視化された画面は、鑑賞者の価値観を喚起する触媒として機能する。
彼女の「営み」への共感、あるいは反感といった反応は、鑑賞者自身の準拠枠(フレーム・オブ・リファレンス)を浮き彫りにする。
特筆すべきは、抽象的な画面に挿入される少女のシルエットである。
これは、U-ku自身の「抽象絵画への苦手意識」という脆弱性の告白であり、同時に、鑑賞者に物語性のある視点を想起させる戦略的な「ガイド」でもある。
このシルエットは、具象と抽象の境界を意図的に曖昧にし、鑑賞の多層性を担保している。
さらに、表情を持たないこのシルエットは、鑑賞者の即時的な心理状態を投影する「鏡」としても作用する。
結果として、作品は「(彼女の生に共振する)普遍的価値観」と「(鑑賞者自身の)即時的価値観」という二重の鏡像構造を持つに至る。
SNSの発達により自己の価値観が容易に揺らぐ現代において、U-kuの作品は、鑑賞者に対し、自己の内面と静かに向き合うための批評的な(クリティカルな)空間を提供する。
それは、偶発性を受け入れ、主体的に自己を再定義し続けることの可能性を問う、現代的な「価値観の肖像」と言えるだろう。

【略歴】
1989 兵庫県神戸市出身
2012 神戸女学院大学 文学部英文学科卒業
【代表的な活動履歴】
ー個展ー
2026 松屋銀座 GINZA ART FESTA (東京)
2025 阪急うめだ 美術画廊 (大阪)
2024 美の起原 大賞受賞記念 (東京)
東急プラザ銀座 Art Galery (東京)
2023 銀座画廊 美の起原 (東京・以降毎年開催)
2022 東急プラザ渋谷 「111」 (東京)
2021 中和ギャラリー (東京・以降毎年開催)
Worldtimes Galery (兵庫・以降毎年開催)
2016 月光荘サロン 月のはなれ 初個展(東京)
ーグループ展ー
2023 POLA MUSEUM ANNEX (東京)
2022 美の起原 奨励賞受賞者展 (東京)
2021 WHAT CAFE寺田倉庫企画展 (東京)
ーアートフェアー
2025 Art Fair Asia Fukuoka(AFAF) (福岡)
2024 KOBE ART MARCHE (兵庫・以降毎年出展)
2023 Study:大阪関西国際芸術祭 (大阪・以降毎年出展)
2019 Art:gwangju19 (韓国)

【代表的な受賞歴】
第11回2023美の起原展 大賞
第10回2022美の起原展 奨励賞
第9 回2021美の起原展 奨励賞

【代表的なコラボ・企業案件・誌面掲載・メディア出演等】
2026 CUCINA Cattelan italia 名古屋ショールーム× The Art Room展示
TOKYOROOMS展 インテリアコーディネーター荒井詩万氏の部屋の壁面作品担当
2025 積水ハウスショールーム× The Art Room展示
2024 FM OSAKA「marche coucou」出演
2023 三井グループ社内報「MITSUI Field」特集掲載
東京新聞「私の東京物語」全10回掲載
ぶらり途中下車の旅 出演
2022 青山美智子× U-ku 共著詩画集 出版(7月、12月に各1冊)(PHP研究所様)
2021 U-ku×Pigment Tokyo ライブペイント(寺田倉庫様)
タワーマンションアートプロジェクト(新都市生活研究所様,Between the arts様)

作品